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とある日の映画鑑賞会(神様ごっこ小話)

昨夜、ひいらぎさんと「グレイテスト・ショーマン」を鑑賞しました。 いやはや、とても爽快感溢れる素晴らしい映画でしたね・・・! ダンスとか歌とか、あんなにできたら楽しいだろうなぁ(運動音痴) 先程、昼食の後片付けを行いながら「神様ごっこの二人なら・・・」という小話が少しだけ浮かんだので消化させておきますね。 (未読な方でも大丈夫です。むしろ発行部数と年月的に未読者様が圧倒的に多そう・・・) ———- ☆簡単な紹介☆ ・神様ごっことは? 自らを「嘘つき小説家」と言う引きこもりの結衣子。そんな彼女の処女作である「フラクタル」がドラマ化するという。 同時期、隣の部屋には青木という青年が引っ越してきた。青木は結衣子のファンであり、同時に「フラクタル」の主演を務める大型新人俳優。 ささやかな交流で少しずつ変化している結衣子だったが、「あの子」の存在が彼女の一歩を常に阻んでいた・・・。 ・人物紹介 結衣子・・・小説家。食への興味が基本的に薄いが、コーヒーだけはこだわる。自分の作品に自信がなかったが、最近は吹っ切れた。 青木・・・超人気の若手俳優。今後映画の主演が決まったら告白しようと計画中。元カノがストーカーになる話もあったけど、本編では存在すらカットされた。 ———- 「映画を借りたので一緒にどうですか」と持ちかけたのはわたしで、「今から?」と前向き過ぎる返事をしたのは青木さんだ。別に今からでもわたしは問題ないが、たまの休日なのにいいのだろうか。先約とかありそうなのに。 「大丈夫。昼過ぎから夜までいないけど、それ以外なら時間取れる」 「昼過ぎ・・・間に合いますか?」  一時間四十分ほどの映画だ。今は午前十一時前、わたしはディスクケースに貼られている情報シールを見ながら呟いた。 「きっちりした時間が決まってないから多少遅れてもいいし、ほら、早く準備しよう」  青木さんは半ば強引にわたしを部屋に入れた。部屋の中が散らかっているのは、最近忙しかったからだろう。 「ごめん、掃除できてなくて」  談笑はわたしの部屋で、映画鑑賞は青木さんの部屋で行う、というのが暗黙のルールになっていた。コーヒーはわたしの部屋の方が美味しくて、テレビ係の設備は青木さんの方が優れいているという簡単な理由だ。テレビの大きさだけでも三倍は違う。  青木さんがプレーヤーを操作しながら、脇に衣類をどけている。 「気にしませんよ。何なら準備の間に多少やっておきますが」 「さすがに悪いし、いいよ、適当にどっか移動させてくれたら」 「じゃあ分類ごとにわけておきます」  本は本、服は服、という具合に種別ごとに山を作る。それを邪魔にならないところに置いておくと、ある程度広いスペースが床に生まれた。 「ありがとう。じゃ、そろそろ始まるし、ソファ座っといてよ」 「あ、飲み物」 「俺が取ってくるから、ほら、結衣子は座る。美味しいコーヒーはないけどね」  言い聞かせるような口調に思わず笑ってしまう。いつものことだ。お言葉に甘えて、わたしはそのままソファでテレビを眺めることにした。十秒後にはソファの前のローテーブルにはペットボトルの紅茶と水、お茶、オレンジジュース、それから紙コップが十個ほど置かれるというのも、いつものこと。  そして青木さんがわたしの隣に腰掛けて、再生ボタンを押した。  その映画は大きな賞を取ったというミュージカル映画で、青木さんは上映中に何度も見に行きたいと言っていた。しかしどうにも都合が合わなかったらしく、がっくりと肩を落としていたことも記憶している。映画のチケットを取るたびに急遽スケジュールが埋まっていったらしく、「俺はこの映画に嫌われているんだ・・・」というメッセージをわたしに送っていた。  エンドロールが終わる。評判に違わず、素晴らしい映画だった。  だったのだが。 「ライバルがもう少しストーリーに絡むと思っていたけど・・・、ああ、主人公の過去をもっと壮絶にして、それから仲間が迎えに来ないパターンで、自分から呼び戻す展開・・・張り紙を・・・」 「ミュージカルとなると、ダンスも演技に加わるから・・・あの空中のシーンは結構ハードだな」  ついつい分析に頭がいってしまうのは悪い癖だ。お互いのことは気にせず、わたしたちは先程の映画を「どう糧にするか」を考えていた。あらかた考え終わって、顔を見合わせるのは大抵三分後。  顔を見合わせたわたしたちが笑い出すのも、いつものことだ。 「ありがとう。楽しかった。いやー、これは本当に映画館で見たかったなー」 「いえいえ、こちらこそお付き合いいただいて。いつかミュージカルも出てください。もしくはハリウッド」 「さらっと難しいリクエストしてくるね結衣子は」  きっとこの人にはそれだけの力があるから、ということは伝えず、わたしは曖昧に笑って紅茶を飲む。 「じゃあ結衣子も、映画化目指してよ。俺出るから」 「それは業界の方にお願いします。あと出演希望ならコネ採用なしでお願いします」 「手厳しい」 「青木さんならできるでしょう、という意思表示なので」  思わず告げたその言葉に、彼は。  立ち上がり、上着を手にしながら笑った。あ、照れてる。そんなことがわかるほどには、付き合いが深まってしまった。 「映画の主演、決まったらさ、一緒に食事でも行こうよ」 「そうですね・・・じゃあ、夜景が見えなくて、マナーがないところをお願いします」  わたしの言葉に青木さんは楽しげに笑った。時刻は一時前。財布とスマホを持っているからもう時間はないのだろう。わたしもディスクを持って立ち上がる。 「そうだ。今日のお礼にケーキか何か買ってくるよ」 「じゃあ、コーヒー用意していますね。また連絡ください」  玄関先でそんな約束を交わして、わたしたちは別れた。 「じゃあ行ってきます! 早いうちに映画の主演、絶対もぎ取ってくるから!」 「はい、行ってらっしゃい」  廊下を元気よく早足で歩きながら、青木さんが言う。共用スペースだからもう少し静かにしてほしい。言わないけど。しかし、映画の主演は青木さんにとって一つの目標だと聞いていたが、なかなか強い決意のようだ。  隣の玄関を開ける。わたしの部屋、テーブルの上にある資料は担当さんが持ってきた物。  slowly nightのタイトルロゴが真ん中に配置されている。数年前に受けた、映画脚本の仕事に関する資料。初めてファンタジーを書いたから、いい経験だった。  その一番上に貼られた付箋を見て、思わずにんまりとした笑みが零れる。  『主演候補は青木航とモデルのハコ』  きっといつかの時みたいに、「俺、主演決まった!」と玄関先で叫ぶに違いない。  できれば早く、彼がこのことを知りますように。   終わり ———- はっきり言って、口調うろ覚えです。ごめんなさい。あれ、こんな感じだっけ・・・(作者・・・!) 神様ごっこも、電子書籍か再販かしたいんですけどね。できるかなぁ・・・いつになるかなぁ・・・。 小話のつもりがだいぶ長くなりましたが。お読みいただきありがとうございました! 鈴藤サキ

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